法改正情報
育児休業の対象となる労働者
(第2条、第6条第1項)
1. この法律の「育児休業」とは、1歳に満たない子を養育するためにする休業をいいます。
2. 労働者と法律上の親子関係がある「子」であれば、実子、養子を問いません。もちろん父親、母親のいずれでも育児休業をすることができます。
3. 法に基づく育児休業は、期間を定めて雇用される者には適用されませんが、労働契約の形式上期間を定めて雇用されている者であっても、当該契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合には、育児休業の対象となります。その判断に当たっては、次の事項に留意してください(子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針(以下「指針」という。))。
- 有期労働契約の雇止めの可否が争われた裁判例における判断の過程においては、主に次に掲げる項目に着目して契約関係の実態が評価されていること。
- 業務内容の恒常性・臨時性、業務内容についての正社員との同一性の有無等労働者の従事する業務の客観的内容
- 地位の基幹性・臨時性等労働者の契約上の地位の性格
- 継続雇用を期待させる事業主の言動等当事者の主観的態様
- 更新の有無・回数、更新の手続の厳格性の程度等更新の手続・実態
- 同様の地位にある他の労働者の雇止めの有無等他の労働者の更新状況
- 業務内容の恒常性・臨時性、業務内容についての正社員との同一性の有無等労働者の従事する業務の客観的内容
- 有期労働契約の雇止めの可否が争われた裁判例においては、1.に掲げる項目に関し、次のa.及びb.の実態がある場合には、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っているものであると認められることが多いこと。
- 1.a.に関し、業務内容が恒常的であること、及び1.d.に関し、契約が更新されていること。
*「業務内容が恒常的」とは、当該事業において業務が定まって変わらないものをいい、例えば、情報処理業におけるプログラミング業務などがこれに当たるものと考えられます。
「恒常的」の対義語は「臨時的」であり、一定期間で作業終了が予定される補助業務についているなど業務内容の臨時性が認められる場合には、「業務内容が恒常的」とはいえません。
- a.に加え、少なくとも次に掲げる実態のいずれかがみられること。
a.) 1.c.に関し、継続雇用を期待させる事業主の言動が認められること。
*「雇用継続を期待させる事業主の言動」としては、例えば、労働者の長期にわたって働きたいとの希望に応じるような趣旨のことをほのめかすことなどがこれに当たるものと考えられます。
b.) 1.d.に関し、更新の手続が形式的であること。
*「更新の手続が形式的」としては、例えば、必ずしも契約期間満了の都度直ちに契約締結の手続をとっておらず次の契約期間の始期の経過後に契約を締結することもあること、労働条件や契約期間などの契約内容についての交渉もなく使用者が記名押印した契約書に労働者が署名押印して返送するという機械的な手続を行っていることなどがこれに当たります。
c.) 1.e.に関し、同様の地位にある労働者について過去に雇止めの例がほとんどないこと。
- 1.a.に関し、業務内容が恒常的であること、及び1.d.に関し、契約が更新されていること。
- 有期労働契約の雇止めの可否が争われた裁判例においては、1.a.に関し、業務内容が正社員と同一であると認められること、又は、1.b.に関し、労働者の地位の基幹性が認められることは、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っているものであると認められる方向に働いていると考えられること。
*「地位の基幹性」とは、当該事業所における当該期間を定めて雇用される者の立場が「基幹的」であることをいい、「基幹性」の対義語は「臨時性」であり、いわゆる嘱託や非常勤講師、アルバイトなどは、契約上の地位の臨時性が認められ、基幹性は認められません。
パートタイマーなどの名称で働いていたり、1日の労働時間が通常より短い方々であっても、期間の定めのない労働契約の下で働いている場合は、この法律に基づく育児休業及び介護休業の対象となる労働者です。
- 事業主は、要件を満たした労働者の育児休業の申出を拒むことはできません。
ただし、次のような労働者について育児休業をすることができないこととする労使協定があるときは、事業主は育児休業の申出を拒むことができ、拒まれた労働者は育児休業をすることができません。
- 当該事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者
- 配偶者が常態として育児休業に係る子を養育することができると認められる労働者
- その他育児休業をすることができないとすることについて合理的な理由があると認められる労働者
- 当該事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者
- 「配偶者が常態として育児休業に係る子を養育することができると認められる労働者」とは、配偶者が次の1〜4のいずれにも該当する場合をいいます(則第6条)。
したがって、配偶者が1〜4のいずれか1つでも要件を欠いた場合には、労働者の育児休業の申出を拒むことはできません。
- 就業に就いてないこと(育児休業等により就業していない場合及び1週間の就業日数が2日以下の場合を含みます。)。
- 負傷、疾病等により子の養育が困難な状態でないこと。
- 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定でなく、又は産後8週間以内でないこと。
- 育児休業に係る子と同居していること。
- 就業に就いてないこと(育児休業等により就業していない場合及び1週間の就業日数が2日以下の場合を含みます。)。
- 「育児休業をすることができないとすることについて合理的な理由があると認められる労働者」とは、次のいずれかの場合をいいます(則第7条)。
- 育児休業申出の日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
- 内縁の妻(夫)等が@の1〜4のすべてに該当する労働者
- 育児休業申出の日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
労使協定により育児休業の対象から除外できる「配偶者が常態として育児休業に係る子を養育することができると認められる労働者」(法第6条第1項第2号)としては、配偶者がいわゆる専業主婦・夫である場合が典型例として挙げられます。
ただし、このような労使協定が締結されていても、男性労働者の配偶者の産後8週間については、その配偶者は「配偶者が常態として育児休業に係る子を養育することができると認められる労働者」に該当せず(則第6条第3号)、必ず生まれた子についての育児休業を男性労働者は取得することができます。
法第6条第1項及びこれに基づく則第6条及び7条は、労使協定を締結した場合に育児休業の対象から除外できる者の範囲の最大限度を示しています。したがって、より狭い範囲の者を除外することは可能ですが、逆により広い範囲の者を除外することはできません(例えば、男性はすべての育児休業の対象から除外する旨の労使協定を締結することはできません。)。
