社会保険労務士 工藤総合保険事務所

今月のQ&A(質問と答え)

過労死の労災認定基準緩和へ


 過労死による労災の認定方法が変わったそうですが、どのように変更されたのでしょうか。

 昨秋、厚生労働省は長時間労働などが引き起こす脳・心臓疾患による死亡(いわゆる過労死)に対する労災の認定基準緩和を決めました。
これまでは過労死と勤務状態との因果関係を判断する期間として「発症前1週間」の業務を中心に調べたのに対し、疲労の蓄積という点を重視し「発症前6ヵ月」に拡大、残業時間の目安として「発症前1ヶ月間に100時間以上、あるいは月平均80時間以上」の場合は仕事と発症の関連性が強いと判断するとしました。
「慢性疲労や過度のストレスが血管病変を増悪させるという医学的知見が集積されつつある」として、「発症に近い時期の負荷」に加え、長期間にわたる仕事による疲労の蓄積や就労状態を考慮する必要性を認め、労働時間以外の要因として

  1. 不規則勤務
  2. 拘束時間の長さ
  3. 出張の多さ
  4. 交代制、深夜勤務
  5. 作業環境(温度、騒音、時差)
  6. 精神的緊張の6点を具体的に挙げ、評価することも新たに示されました。

新しい認定基準により、これまでは過労死と認められなかったものが新たに認められたケースも出てきました。長期間にわたる過重労働やストレスに伴う慢性的な疲労が誘因となる過労死について救済の道が以前より広がりましたが、過労死が同じ仕事をしている他の平均的な労働者にも起こり得たかどうかが、労災認定においてまだ(体調不良やストレスに対する耐性の程度などは個々人により様々でありながらも)重視されているのも現実です。
サービス残業や自宅へ持ち帰っての仕事、休みが取りにくいなど労働者への負担は増加の傾向にあります。過労死を防ぐためにも事業主・労働者双方による出退勤時間や業務量の正確な把握、作業転換や勤務形態の変更、健康管理への取り組みなどを行っていくべきでしょう。

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