社会保険労務士 工藤総合保険事務所

今月のQ&A(質問と答え)

本年10月から実施される改正健康保険法について教えて下さい


Q1 本年10月から実施される改正健康保険法について教えて下さい

A1 「医療保険制度の将来にわたる持続的かつ安定的な運営を確保するため、医療費適正化の総合的な推進、 新たな高齢者医療制度の創設、保険者の再編・統合等」を趣旨とした医療制度改革法が平成18年6月14日成立しました。
 このうち健康保険法では、高齢者の窓口での患者負担の引上げ、75歳以上のみが入る高齢者医療制度 の創設などが改正の柱となっています。
 今回の健康保険の改正点のうち平成18年10月から実施される主なものを、患者が支払う保険料や医療費 の負担、保険給付の具体的な内容等に区分してまとめました。

■改正点のタイムスケジュール
平成18年10月施行
(1)現役並みの所得がある70歳以上の患者負担の引上げ
(2)特定療養費が廃止され、保険外併用療養費が創設
(3)療養病床に入院する70歳以上の食費・居住費の見直し
(4)高額療養費の自己負担限度額の引上げ
(5)出産育児一時金の引上げ
(6)埋葬料の定額化
平成19年4月施行
(1)傷病手当金及び出産手当金の支給水準の引き上げ(標準報酬日額の6割→2/3)、支給範囲の見直し
(2)標準報酬月額の等級が上下限とも4等級追加
(3)標準賞与の範囲の見直し(200万円/1回→540万円/年度)
平成20年4月施行
(1)70〜74歳の患者負担が1割から2割に引上げ(表1参照)
(2)乳幼児の患者負担軽減措置の対象者が3歳未満から義務教育就学前に拡大
(3)新たな高齢者医療制度の創設
 [1] 後期高齢者(75歳以上)を対象とした後期高齢者医療制度の創設
 [2] 前期高齢者(65歳〜74歳)の医療費にかかる財政調整制度の創設
 [3] 高額医療・高額介護合算制度の創設
平成20年10月施行
 政府管掌健康保険は都道府県単位で公法人が運営
平成24年4月施行
 介護療養型医療施設の廃止

平成18年10月からの実施
(1)現役並みの所得(*)がある70歳以上の高齢者の患者負担が2割から3割に引き上げられます(表1参照)
*現役並み所得とは、療養の給付を受ける月の標準報酬月額が28万円以上の場合をいいます。
なお、標準報酬月額が28万円以上であっても被保険者及びその被扶養者(70歳到達月の翌月以後の高齢
受給者に限る)については、所得ベースで145万円、年収ベースでは、520万円(7月までは621万円)、 同様に被扶養者がいない場合は383万円(同484万円)に満たない人については、現行どおり1割負担です。
(2)療養病床に長期入院する70歳以上の高齢者の食費の負担額が引上げられるとともに、居住費が自己 負担となります。
(3)高額療養費の自己負担限度額が引き上げられます(表2、3参照)。
(4)出産育児一時金が30万円から35万円に引き上げられます。
(5)埋葬料が一律5万円に引き下げられます。

表1 自己負担額

年齢 所得層 現行 平成18.10〜 平成20.4〜
〜69歳 高額・一般・低所得者 3割
70歳〜74歳 現役並み所得者 2割 3割
一般・低所得者 1割 2割
75歳〜 2割 3割
一般・低所得者 1割

表2 70歳未満の負担限度額

現行 上位所得者(標準報酬月額56万円以上) 139,800円+(医療費-466,000円)×1%【77,700円】
一般 72,300円+(医療費-241,000円)×1% 【40,200円】
低所得者(住民税非課税) 35,400円 【24,600円】

改正後 上位所得者(標準報酬月額53万円以上) 150,000円+(医療費-500,000円)×1% 【83,400円
一般 80,100円+(医療費-267,000円)×1%【44,400円】
低所得者(住民税非課税) 35,400円【24,600円】

*【 】内は、多数該当の場合の金額です。

表3 70歳以上(老人保健対象者を除く)の負担限度額

現行 区分 外来のみ 世帯単位(入院含む)
一定以上所得者(標準報酬月額28万円以上等) 40,200円 72,300円+(医療費-361,500円)×1% 【40,200円】
一般 12,000円 40,200円
低所得者[2] 8,000円 24,600円
低所得者[1] 8,000円 15,000円

改正後 区分 外来のみ 世帯単位(入院含む)
現役並み所得者(標準報酬月額28万円以上等) 44,400円 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 【44,400円】
一般 12,000円 44,400円
低所得者[2] 8,000円 24,600円
低所得者[1] 8,000円 15,000円

*【 】内は、多数該当の場合の金額です。

例 ガンで入院して、1月100万円かかった場合の患者負担額
(1) 70歳未満(上位所得者の場合)
 [1] 現行 139,800円+(1,000,000円-466,000円)×1%=145,140円
 [2] 改正後 150,000円+(1,000,000円-500,000円)×1%=155,000円
9,860円増
(2)70歳以上(現役並み所得者の場合)
 [1] 現行 72,300円+(1,000,000円-361,500円)×1%=78,685円
 [2] 改正後 80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円
8,745円増

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