今月のQ&A(質問と答え)
募集・採用時の年齢制限が廃止―雇用対策法の改正―
Q1 平成19年10月1日から雇用対策法が改正されたと聞きました。改正の内容を教えてください。
A1 従来、募集・採用に係る年齢制限の緩和については努力義務とされていたため、年齢制限を行う求人が多く、高齢者やフリーターなど一部の労働者には応募の機会がほとんどない状況にありました。
そこで、この状況を改善し、均等に働くチャンスが与えられるよう雇用均等法が改正されて、平成19年10月1日から、募集・採用時における年齢制限が禁止されました。
Q2 全ての募集・採用時に年齢制限を行うことが禁止になったのでしょうか?
A2 全て禁止になったわけではなく、年齢制限を行うことに合理的な理由がある場合は例外的に年齢制限を認めています。具体的には次の5つのケースです。
(1)定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合。
(2)労働基準法などの法令の規定により年齢制限が設けられている場合
(3)長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
(4)技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
(5)60歳以上の高年齢者または特定の年齢層の雇用を促進する施策の対象となる人に限定して募集・採用する場合
Q3 その5つのケースの具体例を教えてください。
A3 では、1つ目から説明いたします。
(1)定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合。
●認められる例
期間の定めのない労働契約は、定年年齢を上限として年齢制限ができますので、定年が60歳の会社が「60歳未満の方を募集」とするような場合
●認められない例
・62歳定年の会社が、「60歳未満の方を募集」というように定年年齢と上限年齢が一致しない場合
・60歳定年の会社が、「40歳以上60歳未満の方を募集」というように下限年齢を設定している場合。
・60歳未満の方を募集(契約期間8ヵ月)」というように有期の労働契約を締結する場合
・定年が60歳の会社が、「業務の習熟に最低2年間が必要なため58歳以下の方を募集」というように業務の習熟に一定期間が必要であることを理由に、上限年齢を下げている場合は認められません。しかし、「業務の習熟に最低2年を要する。ただし、上限年齢は60歳未満とする」と明示した場合は認められます。
(2)労働基準法などの法令の規定により年齢制限が設けられている場合
●認められる例
「18歳以上の方を募集(労働基準法第62条の危険有害業務)」、「18歳以上の方を募集(警備業法第14条の警備業務)」など、特定の年齢の範囲に属する労働者の就業等が禁止または制限されている業務については、年齢制限は認められます。
(3)長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
※この場合は、以下の要件を満たせば上限年齢を定めることができます。
・職業経験について不問とすること
・新卒者以外の人については、新卒者と同等の処遇(訓練・育成体制、配置等に関する処遇をさし、賃金等が同一である必要はありません)であること
●認められる例
・「30歳未満の方を募集( 業務経験不問)」とする場合
・「40歳未満の方を募集(簿記二級以上)」(必要な免許資格を定めていても、実務経験を有する資格でなければ認められます)とする場合
●認められない例
・「35歳未満の方を募集(契約期間10ヵ月)」というように労働契約が有期である場合
・「40歳未満の方を募集(経理事務の経験のある人)」というように職務経験をつける場合
・「25歳以上35歳未満の方を募集」というように下限年齢を設定している場合
(4)技能・ノウハウの継承の観点から、「特定の職種」において「労働者数が相当程度少ない」「特定の年齢層」に限定し、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
「特定の職種」とは
機械・電気技術者(中分類)における電気通信技術者(小分類)、家庭生活支援サービス職業従事者(中分類)におけるホームヘルパー(小分類)など技能・ノウハウの継承が必要となる具体的な職種(厚生労働省「職業分類」の小分類もしくは細分類または総務省「職業分類」の小分類を参照)の名称を用いなければなりません。
「労働者数が相当程度少ない」とは
同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して労働者数が半分以下である場合です。
「特定の年齢層」とは
30〜49歳のうちの特定の5〜10歳幅の年齢層で設定します。この場合はその特定の年齢層に限定して募集・採用が認められます。
●認められる例
S社の電気通信技術者が、20〜29歳が10人、30〜39歳が2人、40〜49歳が8人である場合において、「S社の電気通信技術者として30〜39歳の方を募集」とする場合
●認められない例
・「S社の電気通信技術者として25〜34歳の方を募集」とする場合(30〜49歳の範囲に収まっていない)
・年齢幅が5〜10歳を超えて「S社の電気通信技術者として35〜49歳の方を募集」とするような場合
・電気通信技術者が、20〜29歳が30人、30〜39歳が15人、40〜49歳が25人であるS社が、「S社の電気通信技術者として30〜39歳の方を募集」とする場合(同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して半分以下となっていない)
(5)60歳以上の高年齢者または特定の年齢層の雇用を促進する施策の対象となる人に限定して募集・採用する場合
●認められる例
雇入れ助成金など国の施策を活用して60歳以上の高年齢者または特定の年齢層の雇用を促進する施策の対象となる人に限定し、たとえば「60歳以上の方」、「45歳以上65歳未満の方(中高年齢者トライアル雇用の対象として)」、として募集・採用する場合
●認められない例
・「60歳以上70歳未満の方を募集」というように、60歳以上の高年齢者に上限年齢を設定している場合。ただし、特定求職者雇用開発助成金を活用したい場合は「60歳以上65歳未満の方」として、その旨を備考欄等に記載して、募集・採用することは認められます。
・中高年齢者トライアル雇用の対象として「45歳以上60歳未満の方を募集」というように助成金の支給対象となる特定の年齢層よりも限定している場合
Q4 求める人材確保のテクニックを教えてください。
A4 例外事由に該当しない限り年齢制限はできませんが、年齢を不問とし、職務内容や職務遂行能力などをできる限り詳しく明示することにより、求める人材を確保することができます。
例えば、長距離トラックの運転手を募集する場合は「45歳未満の方」とするのは認められませんので、年齢を不問とした上で、「長距離トラックを運転して、青森から鹿児島までを定期的に往復し、20kg前後の荷物を上げ下ろしする業務を継続して行うため、持久力と筋力が必要」などとその業務内容と必要とされる能力などを求人票に明示するとよいでしょう。
Q5 今回の改正での留意点を教えてください。
A5 今回の改正で、募集・採用の際は、求人と求職のミスマッチの解消のために職務の内容、職務遂行上必要とされる労働者の適性、能力、経験、技能の程度などをできるだけ詳しく明示することが求められています。
このため、求人内容等について、ハローワークから資料の提出や説明を求められることがあります。これらに違反すると、助言、指導、勧告などを受ける場合があるとともに、求人の受理を拒否される場合があります。
