社会保険労務士 工藤総合保険事務所

今月のQ&A(質問と答え)

健康保険の被扶養者について具体的に教えてください。


Q1 健康保険の被扶養者になるとどのようなメリットがありますか?

A1 健康保険の被扶養者と認められると、医療保険の保険料を負担しないで被保険者とほぼ同水準の給付を受けることができます。
また、このうち20歳以上60歳未満の被扶養配偶者については、国民年金の第三号被保険者となり、医療保険と同様に保険料の負担なしで、第一号被保険者とほぼ同水準の給付を受けることができます。
被扶養者になれるか否かは、被保険者にとっても被扶養者にとっても重要な問題です。

Q2 被扶養者と認められる人は、どのような要件を満たした人ですか?

A2 被扶養者になれるか否かの判断は各保険者(国や健康保険組合のこと)が行います。その要件とは次の(1)又は(2)のどちらかを満たした人です。

(1)被保険者と生計維持関係があるだけで被扶養者になれる人
配偶者(内縁関係を含む)、子供(実子及び養子)、父母(養父母)、孫、祖父母、曾祖父母、弟妹
(2)被保険者と同一の世帯に属し、かつ、生計を維持されているという2つの要件を満たしたときに被扶養者になれる人
1)(1)以外の三親等内の親族(継父母、継子は三親等内の親族として扱う)
2)内縁関係にある配偶者の父母と子供(その配偶者が死亡した後も、引き続き同一の世帯に属し、生計維持関係があればその間は被扶養者になれます)

Q3 「同一の世帯に属する」とはどういうことですか?

A3 被保険者と住居及び家計を共同にすることで、単に同居している状態いい、同一戸籍  内にあることも被保険者が世帯主であることも要求されていません。いわゆる同じ屋根の下に住んでいる状態のことです。

Q4 離婚してBさんの被扶養者となっている姉のAさんが、骨折して入院することになった場合、Aさんは引き続きBさんの被扶養者となることはできますか?

A4 兄姉は三親等内の親族に該当しますので、被保険者(Bさん)と同一の世帯に属し、かつ、生計維持関係がなければ被扶養者としては認められません。
入院することとなったAさんは、病院にいることになり事実上は別居ですが、入院は一時的なもので、本拠は依然として自宅にあり、退院すればまた自宅に戻ることになるわけですから、同一の世帯に属していることとして取り扱われ、被扶養者であり続けることができます。

Q5 母が認知症で老人保健施設に入所することになりました。長期の入所になると思われますが、入院と同じように一時的な別居として取り扱われるのですか?

A5 被保険者と同一の世帯に属することが要件である人(従来から被保険者と住居を共にしていた者に限る)が、老人保健施設、身体障害者授産施設、知的障害者更生施設などに入所することとなった場合においては、病院または診療所に入院する場合と同様に、一時的な別居であると考えられることから、被保険者と住居を共にしていることとして取り扱われます。

Q6 健康保険では、「届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者」、いわゆる内縁関係にある人も被扶養者として認めているようですが、内縁関係にあれば無条件に被扶養者になれるのですか?

A6 内縁関係にある人が配偶者と認められるのは、婚姻の届出さえすれば法律上の配偶者となれる人に限られます。法律上の妻はいるけれども別居状態で、他の女性と同棲しその人を扶養している場合、たとえその状態が長期に及び、法律上の妻は単に形式上の妻に過ぎないような場合であっても、民法で禁止されている重婚となりますので、届出さえすれば法律上の配偶者になれる人ではないことから被扶養者となることはできません。
ちなみに、内縁関係にある人については、戸籍抄本、住民票(続柄の欄に「未届の妻」あるいは「未届の夫」等と表示されたもの(この欄は本人が申し出た事由が記載されています) )の添付が義務づけられています。

Q7 離婚後3ヵ月の女性と同居、被扶養者として届け出たのですが、認められませんでした。どういう理由からなのですか?

A7 健康保険においては、再婚禁止期間の6ヵ月を経過していない女性の婚姻、近親者相互間の婚姻、養親子関係の婚姻、不適齢者の婚姻など民法上婚姻が禁止されている人は、不適法婚として婚姻の届出ができませんので、これらの人は被扶養者になることはできません。

Q8 戸籍上の養子縁組がされている子供は、養父の被扶養者になることはできますか?

A8 配偶者は内縁関係が認められていますが、子は戸籍上の養子縁組がされていなければなりません。入籍している場合は、養父母、養子の関係になり、実父母、実子と同様に取り扱われ、生計維持関係があるだけで被扶養者になれます。
しかしながら、里子のように届出がされていない人については、事実上親子と同じような生活状況にあったとしても、法律上、被保険者やその妻または内縁の妻と民法上の親族関係にありませんので親子とはみなされず、よって被扶養者となることはできません。
ちなみに、この場合、里子だけが国民健康保険に加入することになります。

Q9 継父母と継子は、どのように取り扱われるのですか?

A9 継父母、継子のような関係は、民法上、父母、子、として扱われませんが、三親等内の親族に含まれますので、被保険者と同一の世帯に属し、主としてその人により生計を維持している場合には、被扶養者となることができます。
また、内縁関係にある妻の連れ子も、被保険者と同一の世帯に属し、主としてその人により生計を維持している場合には、被扶養者となることができます。

Q10 被扶養者の生計維持の具体的な要件について教えて下さい。

A10 被扶養者については年齢的な制限はありませんが、16歳以上60歳未満の人については、通常は仕事に就き、報酬を得ていると考えられることから、就労の事実と収入の有無の事実確認が行われます。
なお、この場合の収入とは、給与所得者は総収入、自営業者の収入はその事業遂行のための必要経費控除後の額となります。 具体的には、次の通りです。
1) 被扶養者が被保険者と同一世帯に属している場合
年収が130万(60歳以上の人や障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者については180万円。以下同じ)未満で、かつ、被保険者の年収の2分の1未満であること。ただし、前掲に該当しない場合であっても、被扶養者の年収が130万円未満で、かつ、被保険者の年収そのものを上回らない場合で、その世帯の生計を総合的に勘案して被保険者が生計維持の中心的役割を果たしていると認められるときには、被扶養者として認められます。
2) 被保険者と別居している場合
被扶養者の年収が130万円未満で、かつ、被保険者からの仕送り額より少ないこと。
なお、ここでいう年収には、給与、失業給付、公的年金、家賃収入など名称を問わず、すべての収入が含まれます。

Q11 夫婦共働きの場合は、どちらの被扶養者になるのですか?

A11 夫婦共同扶養の場合の認定については次のような取り扱いがされています。
1)被扶養者とすべき人の人数に関係なく、年収の多い方の被扶養者とすることを原則とすること。
2)夫婦双方の年収が同程度である場合は、被扶養者の地位の安定を図るため、届出により、主として生計を維持する人の被扶養者とすること。

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