社会保険労務士 工藤総合保険事務所

今月のQ&A(質問と答え)

今年4月からスタートする後期高齢者医療制度について教えてください。


Q1 後期高齢者医療制度の概要を教えてください。

A1 現行では、75歳以上の後期高齢者は、国民健康保険や被用者保険に加入して保険料を払いながら、市区町村が運営する老人保健制度にも加入して医療給付を受けています。
この制度が3月で廃止され、4月からは後期高齢者のための独立した新しい医療保険制度(後期高齢者医療制度)が始まります。

Q2 現行制度との大きな違いはどのようなことですか。

A2 現在家族に扶養されている人を含めて、すべての後期高齢者が保険料の負担を求められ、大多数が年金天引きで保険料を徴収されるようになることです。
このほか保険料を滞納した人は被保険者証を回収され、被保険者資格証明書(以下、資格証明書という)が発行されることになります。また、保険料は後期高齢者と現役世代の比率に応じて決定されます。

Q3 被保険者資格取得の時期と喪失の時期を教えてください。

A3 後期高齢者医療の被保険者資格の取得時期は、次のいずれかに該当した日です。
1)後期高齢者医療広域連合(後期高齢者医療を運営する都道府県単位の特別地方公共団体のことで、各都道府県の区域内の全市町村が加入して構成されます。 以下、広域連合という)の区域内に住所を有する人が75歳になったとき
2)広域連合の区域内に住所を有する65歳以上75歳未満の人が、障害者の認定を受けたとき
3)75歳以上の人が広域連合の区域内に住所を有するに至ったとき
4)生活保護法による保護を受けなくなったときなど

一方、被保険者は、広域連合の区域内に住所を有しなくなったときや障害の状態が解消したときなど一定の事由に該当したときには、その翌日に資格を喪失します。

Q4 現在老人保健で医療を受けていますが、平成20年4月以降はどのように変わるのですか。

A4 新制度が始まると、後期高齢者は現在加入している国民健康保険や健康保険から脱退し、後期高齢者医療制度に加入することになります。
つまり、後期高齢者医療制度への加入後は、今まで加入していた国民健康保険や健康保険等の被保険者ではなくなります。
具体的には、平成20年4月時点ですでに75歳以上の者は、自動的に後期高齢者医療の被保険者になり、4月以降に75歳になる人は、75歳の誕生日からやはり自動的に被保険者となります。
たとえば、76歳の夫が健康保険の被保険者、妻は73歳でその被扶養者というような場合、4月以降は、夫は後期高齢者医療の被保険者に、被扶養者であった妻は75歳未満であるため、国民健康保険に加入して国民健康保険の保険料を支払わなければなりません。

Q5 保険料の算定方法と納付方法について教えてください。

A5 保険料は、被保険者均等割(応益割額)と所得割(応能割額)の合計額が、被保険者単位で算定されます。被保険者均等割とは、被保険者一人ひとりが均等に負担する額のことで、所得額により軽減(2割、5割、7割)措置が設けられています。
所得割とは、被保険者の算定対象所得(総所得金額−基礎控除)に保険料率を掛けた額です。保険料率、賦課限度額は国で定める算定基準に基づき、広域連合が条例で定めます。
納付方法は、年金月額15,000円(年額18万円)以上の人は年金から天引き(特別徴収) され、15,000円に満たない人は送付されてくる納付書により現金で納付(普通徴収)することとなります。

Q6 普通徴収されている人が、どうしても保険料を支払えないときはどうなるのですか。

A6 保険料の納期限から1年が経過するまでの間に保険料を納付しない場合は、特別な事情を除き、被保 検者証が没収され、その代わりに資格証明書が交付されます。
資格証明書は、被保険者証と異なり、診察を受けたときには、医療機関の窓口で医療費の全額(10割)を支払い、後で9割(現役並み所得者は7割)相当額を返してもらうための「特別療養費」の請求手続きが必要になります。
なお、1年経過前であっても被保険者証の返還を求めることができる規定が盛り込まれています。

Q7 保険料を1年間滞納するといきなり10割負担となるのですか。

A7 広域連合は、資格証明書を交付する前に、有効期間の短い短期証(被保険者証と同じで、診療を受けた際には、医療機関の窓口で1割(現役並み所得者は3割)相当額を負担すればよい)を発行できることになっています。

Q8 1年経過後も引き続き保険料を支払えない場合は、何か罰則があるのですか。

A8 特別な事情がなく保険料を滞納し、その納期限から1年6ヵ月を経過するまでの間に保険料を納付しない場合は、特別療養費の全部または一部の支払が一時差し止められることがあります。
それでも保険料を滞納しているときは、被保険者に通知して、一時差止めにかかる特別療養費の額から滞納している保険料を徴収できる規定が設けられました。

Q9 保険料滞納が認められる特別の事情とはどのようなものがありますか。

A9 具体的には、次のいずれかに該当する場合は、資格証明書ではなく被保険者証が交付されます。
1)被保険者または被保険者の属する世帯の世帯主(以下、滞納被保険者等という)が、災害を受けたり盗難にあったとき
2)滞納被保険者等や生計を一にする親族がケガ・病気になったとき
3)滞納被保険者等が事業を廃止または休止したとき
4)滞納被保険者等が事業で著しい損失を受けたとき
5)滞納額が著しく減少したときなど

Q10 被扶養者にも保険料が課されるようですが、どのような理由からですか。

A10 保険料の徴収方法が世帯ごとから個人ごとへ変わるため、これまで保険料の負担がなかった被扶養者(家族)からも徴収されることとなり、75歳以上の被扶養者については、無収入であっても新たな負担が発生することとなります。

Q11 制度加入直前に被用者保険の被扶養者であった方の保険料負担の見直しが行われたそうですが、どのように変わったのですか。

A11 法改正時は、後期高齢者医療の被保険者となった日の属する月から2年間、被保険者均等割が5割軽減
されることとされていましたが、その後の見直しで、平成20年4月から6ヵ月間は無料、その後6ヵ月
間は被保険者均等割が9割軽減、平成21年4月から1年間は5割軽減となる特例措置がとられます。

Q12 後期高齢者は、保険料のほかに診療を受けたときに一部負担金を支払わなければならないのですか。

A12 療養の給付等を受けたときには、患者は次の一部負担金を支払わなければなりません。
1)現役並み所得者以外…1割
2)現役並み所得者…3割
この負担割合は、現行の老人保健医療制度と同様です。

★保険料に関しては、取り扱いが異なることがありますので住所地の市区町村にご相談ください。

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