社会保険労務士 工藤総合保険事務所

今月のQ&A(質問と答え)

健康保険で入院したときの食事代や居住費の負担について教えて下さい。


Q1 被保険者がケガや病気の治療のため、保険医療機関に入院したときの給付について教えて下さい。

A1 入院したときは、療養の給付と併せて受けた食事療養に要した費用について、入院時食事療養費が支給されます。
このうち療養病床に入院する65歳以上の長期入院患者(特定長期入院被保険者という)については、療養の給付と併せて受けた生活療養(食事療養及び水道光熱費に関する適切な療養環境の形成である療養をいう)に要した費用について、入院時生活療養費が支給されます。

Q2 被保険者が入院したときに、患者が負担しなければならない食事代について教えて下さい。

A2 被保険者(特定長期入院保険者を除く) がケガや病気の療養のため保険医療機関に入院したときは、A1のとおりその治療と併せて食事の給付が受けられますが、入院期間中の食事の費用は、健康保険から支給される入院時食事療養費と患者が負担する食事療養標準負担額でまかなわれます。

[低所得者の負担軽減措置]
食事療養標準負担額については、市町村民税非課税世帯と食事療養標準負担額の減額を受けなければ生活保護法の要保護者となる世帯(市町村民税非課税世帯等)の人及び市町村民税非課税世帯に属しかつ所得が一定基準に満たない人( 70歳以上の高齢受給者に限る) については、負担が軽減される措置がとられています。
入院したときの1食あたりの食事療養標準負担額は、下表のとおりです。

*居住費の負担はありません
一般(低所得者以外) 260円(1日780円上限)
低所得者 市町村民税非課税世帯等 入院90日以内 210円(1日630円上限)
入院90日超 160円(〃)
所得が一定基準に満たない高齢者 100円

Q3 健康保険の被保険者の中にも低所得者はいるのですか。

A3 市町村民税は、前年の所得に基づき算定されますので、新卒者や休職中の人など前年の所得が一定未満の被保険者が該当します。
食事療養標準負担額の軽減措置を受けることを希望する場合は「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定申請書」に被保険者証と低所得の証明書を添付して、社会保険事務所に提出します。
申請が認められると「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定証」が交付されますから、被保険者証と認定証を医療機関の窓口へ提出することで食事療養標準負担額の軽減措置が受けられます。

Q4 低所得の証明はどのように行えばよいのですか。

A4 低所得の証明は次のとおりです。
1)低所得者世帯の場合:住所地の市区役所または町村役場等で証明を受けた市町村民税の非課税証明
2)所得が一定基準に満たない場合:1)の非課税証明と給与や年金の源泉徴収票
3)生活保護法の要保護者の場合:福祉事務所長が行う標準負担額認定該当の証明

Q5 65歳以上の人が、療養病床に長期入院する場合の患者の負担額について教えて下さい。

A5 65歳以上の高齢者が療養病床に入院したときは、介護保険との均衡の観点から、食費代と居住費(水道光熱費相当) を負担しなければなりません。患者負担額( 生活療養標準負担額という)は、1食あたり460円、居住費については1日あたり320円です。(下表を参照)
なお、低所得者には、所得の状況、病状の程度、治療の内容その他の状況を斟酌して、負担軽減措置が設けられています。ただし、この措置を受けられる高齢者は、難病、脊髄損傷等の患者や回復期リハビリテーション病棟に入院している患者などです。
ちなみに、病床には、一般病床、療養病床、結核病床、感染症病床、精神病床があります。特定の疾患を対象とした結核病床、感染症病床、精神病床以外が一般病床、療養病床です。一般病床が主に急性期の疾患を扱うのに対し、療養病床は主に慢性期の疾患を扱います。

*1 1ヵ月あたり
一般 入院時生活療養を算定する保険医療機関に入院している人 食費 460円*2 約42,000円
居住費 320円 約10,000円
低所得2 世帯全員が市町村民税非課税世帯 食費 210円 約19,000円
居住費 320円 約10,000円
低所得1 世帯全員が市町村民税非課税世帯で所得が一定基準に満たない人 食費 130円 約12,000円
居住費 320円 約10,000円

*1 食費は1食あたりの金額、居住費は1日あたりの金額です。
*2 食事の提供体制により1食あたり420円で1日1,260円の負担となる医療機関もあります。

Q6 65歳以上の高齢者が、ケガや病気の治療のため一般病床に短期入院する場合の患者負担額はいくらになるのですか。

A6 65歳以上の高齢者であっても、一般病床に短期で入院する場合は、入院時生活療養費ではなく入院時食事療養費が支給されます。したがって、患者は療養の一部負担金と食事療養標準負担額を負担すればよいことになります。

Q7 通院が困難なために長期入院することになった場合の患者の負担額について、具体例で教えて下さい。

A7 入院医療の必要性が低い患者が、180日を超えて入院したときには、その特別料金部分(いわゆる選定療養のひとつで、入院基本料の15%部分)等については全額自己負担となり、残りの額が保険給付の対象となります。
なお、特別料金は医療の種類や病院によって異なりますので、あらかじめ確認するとよいでしょう    
(料率は同じです)。

例) Aさん(負担割合3割)が病院に入院し、入院料が1日100点(1点は10円なので総額1,000円)になるとした場合の患者の負担額は次のようになります。
(1)選定療養該当前・・・300円
通常どおり医療費総額(1,000円)の3割( 300円)が自己負担額となります。
(2)選定療養該当後・・・405円(次の1)+2))
1)15%の実費額 1,000円×15%=150円
2)一部負担金 850円×30%=255円
入院基本料の15%相当額が、Aさんの全額負担となります。つまり、選定療養該当後はその実費額(入院基本料の15%)と通常の一部負担金( 差額850円の3割) との合計額を負担することになり、実質的には105円の負担増となります。
ちなみに同一の病名で他の病院に移った場合には、選定療養は継続扱いとなり期間は通算されますが、一度退院して3ヵ月以上経過すると、再度入院した日が180日の起算日となります。また、病院等を退院後、別の病気で入院したり、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設等に入所(入院) していた場合には、通算されずに次の入院のときから新たに入院期間が計算されます。

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